前回までで、ついに双極性障害(躁うつ病)と診断されるに至りましたが、一連の流れを文章でつらつらと書いてしまったので、少し分かりにくかったかもしれません。
そこで、今回は、『起きていた症状』に着目して、書いていこうと思います。
その前に、まずは双極性障害という病気がどういう病気かについてわかりやすくまとめてみたいと思います。
双極性障害(躁うつ病)というように、2つの極(【躁】と【鬱】)がある病気です。必ず2つの病態があります。
双極性障害の患者さんは、はじめて病院を受診する際は、調子が悪いと自分も周囲も自覚しやすくわかりやすい【鬱状態】の時に受診する人が多いので、『うつ病』(単極性うつ病。一般に知られているうつ病のこと。)と誤って診断されるケースも多くあります。
それがこの双極性障害という病気を難しくしている要因です。
まれに、躁状態が激しく、明らかに異常がみられると周囲に思われて病院を受診する方もいますが、ケースとしてはうつ状態で受診する人の割合よりも少ないでしょう。
私自身、はじめての受診は【鬱状態】の時でした。
躁状態が見過ごされる理由としては、それが一般の人が想像するような【ハイの状態】が躁状態で必ず出現するとは限らないからです。
一般的に想像されるようなハイの状態になる人はレアケースで、昔、双極性障害が『躁うつ病』と呼ばれていた頃の病気のイメージは、『躁=ハイテンション』のイメージでした。
しかし実際には、それよりもマイルドな躁状態や、症状の出現もあることが分かってきたのです。
躁状態で出現する主な症状としては、
- とにかく元気、陽気
- 周囲に話しかけまくる、おしゃべり
- 眠らないでも大丈夫
- 急に偉ぶった態度を取るようになる
- 数十万単位の激しい浪費
- アイディアが次々浮かんでくる
- じっとしていられない
- とても怒りっぽくなる
などがあります。
そう、ただただ元気なだけではないのです。
それよりも、実際は『急に怒りっぽくなった』というほうが、周囲から見てわかりやすい変化かもしれません。
https://www.smilenavigator.jp/soukyoku/information/download/pdf/pdf_01.pdf
本人や周囲にわかりづらい程度のマイルドな躁状態を【軽躁状態】(軽い躁状態。躁の状態が酷くないけど、出現している。)と言います。
私は主にこちらです。
軽躁状態ですから、先ほど書いた躁状態の症状ががマイルドなので、周囲からは躁状態と気づかれず、なんなら「この人は本当はこんな人だったんだ・・・」と【性格の問題】だと誤解されてしまうケースが多いのが、この軽躁状態です。
私自身、双極性障害と診断されてからも、なぜ自分が双極性障害なのか?どこに躁状態(軽躁状態)があるのか、さっぱりわかりませんでした。
しかし、医師向けの情報なども検索したところ、『転職回数の多さ』というのも、一つの診断基準になるようです。
私はこちらが特に当てはまっていました(^^;
なぜ転職回数が問題になるのかというと、先ほどの躁状態での症状と関係してくるのですが、
- 躁状態で気が大きくなり、「自分には何でもできる!」「起業する!」と言い出して本当に会社を辞めてしまう
- 怒りっぽくなり同僚や周囲とトラブルを起こし、結果的に会社を退職
といったケースが見られるからです。
私も、就職した当初はいつも躁状態で気が大きく、「私は何でもできる!私が正しい!周りが無能なんだ!」と思っている節がありました。
最初に発達障害を疑って病院を受診した際も、
- イライラする
- 社長が無能
- 嫌いな人とは口もききたくない
- 私が正しいと思っている
- 会社を変えてやろうという野望
- 社員みんなのために変革してるという妙な正義感
といった症状が出ていました。
これ全部、先ほどの躁状態の症状に当てはまりますよね(^^;
しかし、会社を辞める直前はいつも、うつ状態に近くなって辞めていました。
これは、会社という場所に疲れたり、自分の居場所がないと感じたり、躁状態の人間関係のいざこざが由来しているのかな?と思っていましたが、単に『躁状態から鬱状態に移行した』だけだったかもしれません。
ただし、だからと言って『双極性障害はうつ病と同じ』ではありません。全くの別物です。
なぜかというと、うつ病は【心の病気】であるのに対し、双極性障害は【脳の病気】だからです。
双極性障害は、脳の分泌物になんらかの伝達異常が起きている状態であるとわかっています。
躁やうつの原因は、脳内の情報伝達の乱れによると考えられています。ストレスはきっかけにはなりますが、直接の原因ではありません。治療薬の作用などから、躁状態、うつ状態では、ドーパミンなどの脳機能を全般的に調整している神経伝達物質の機能が変化していると考えられています。
一方、これらの神経伝達物質が変化してうつや躁になる理由は、まだはっきりとはわかっていません。体質的に、これらの伝達物質に対する細胞内の情報伝達系(イノシトールリン脂質系など)が不安定であるため、あるいは気分をコントロールする神経の働きが弱っているためかも知れません。これらの体質は、多数の遺伝子と環境の相互作用によって決まると考えられており、双極性障害は一つの遺伝子の異常で起こる遺伝病ではありません。
双極性障害患者の脳の画像を撮ると、うつ病患者とは全く異なる画像になるそうです。脳の委縮する部位が違うのです。
双極性障害(躁うつ病)とうつ病の前頭葉体積の違いが明らかにーMRIにより診断の判別が可能となることに期待ー | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構
また、脳の病気であるため、診察する科も違います。
双極性障害は【精神科】でないと治療できません。
このように、双極性障害とうつ病は全く異なる病気ですが、名前のせいで誤解されることも多く、その意味でも以前の【躁うつ病】という呼び方を【双極性障害】と変えたことにも意義があると思います。
(ちなみに、「双極性障害」から『双極症』へ、さらに名称変更されるそうです。)
双極性障害におけるうつ状態は、うつ病のうつ状態と変わりありません。
ただ、それが何によって引き起こされているか?が違うので、『見た目は同じ鬱でも原因が違う鬱』ということになります。
よく聞くうつ状態の精神症状としては、
- やる気が出ない
- 寝てばかりいる
- 朝起きられない
- 全てのことに興味がわかない
- もうしばらく笑ってない、物事を楽しめない
- 準備をするのに段取りがわからなくて、今までの倍の準備時間がかかる
- 疲れやすい
- 仕事が手につかなくなる
- わけもなく涙が出てくる
- ほっといてほしいと思う
などです。
これにさらに身体症状が加わります。
- 頭痛
- 不眠、中途覚醒
- 胃痛
- 食欲不振あるいは過食
- めまい
などです。
私も休職する直前期には、上記の症状がほとんど当てはまっていました。
特に精神症状の面でかなりの項目が当てはまり、辛かったことを覚えています。
同じうつ状態だからと言って、うつ病で飲む【抗うつ薬】を双極性障害患者が飲むと【躁転(うつ状態だったのが躁状態に急速に転じること)】することがあります。
なので、絶対に飲んじゃダメです。
だからうつ病に紛れている躁うつ病患者はいつまで経っても治らないんです。
また、先ほども説明した通り、心の病気と脳の病気では全くの別物なので、当然同じ薬を飲んではダメです。
双極性障害は【気分安定薬】という双極性障害専用の薬があります。
こちらは、躁とうつの気分の波を抑える薬なので、躁にも鬱にも効きます。この薬を治療中は基本的にはずっと飲むことになります。
症状によって、更に抗精神病薬などを組み合わせて飲んでいきます。
薬については、また後日さらに詳しく記述しようと思っています。
双極性障害のうつ状態だからといって、うつ病の薬は飲んじゃダメ。
これ、超大事なので覚えておきましょう。
さて、ここまで、発症前の症状とそれを説明するために、『双極性障害とはどんな病気なのか?』を説明してまいりました。
出来る限り、私が今まで双極性障害について学んできた知識をわかりやすくまとめたつもりです。
要所要所にリンクも貼ってありますので、参考にそちらもご覧になってください。
以下にも、双極性障害についてまとめてあるサイトで私が分かりやすいと思ったものをリンクを貼っておきます。
参考リンク:
双極性障害とは - 原因、症状、治療方法などの解説 | すまいるナビゲーター | 大塚製薬